実習される方へ

児童養護施設などの宿泊を伴う施設実習の準備と心得

1. 実習心得と準備

実習に際しては、事前訪問をするか電話による事前承諾を受けてください。その場合、受けた職員の名前を確認しておいてください。
オリエンテーションをかねた訪問のときは、施設までの順路、所要時間、利用交通機関、所在地などの確認をしておいてください。
また、持ち物、食費、その他の必要経費の確認などもしておいてください。

(1)提出書類、持ち物、必要経費

《提出書類》
実習生個人調査票
細菌結果(O157 を含む)
実習評価表
《持ち物》
実習日誌
出勤簿・印鑑
名札
筆記用具・辞書
エプロン
室内用スリッパ
運動できる下靴
日よけ帽子・水着・ゴム草履( 夏用)
活動しやすい服装( 冬場は温かい服装)
軍手・タオル・雑巾
宿舎用 枕カバー シーツ 洗剤 目覚まし時計
その他 常備薬( 冬場ハンドクリームなど) 健康保険証
各自必要なもの( 茶碗、箸、勤務時間外の食料)
《必要経費》
食事代 朝食(250 円) 昼食(350 円) 夕食(400 円)
宿舎( 地域交流ホーム樹心館2階)
利用料( 電気・水道・ガス代など含む)1 泊500 円
実習資料代 児童福祉ぎふ 県下共通 1,000 円
※経費については、リーダーがまとめて事務職員に渡してください。

(2)実習中の態度

樹心寮はホーム制養護です。基本的には各家に1 名ずつの配置となります。お互いが励ましあいながら、積極的な実習態度で臨ん でください。
各家に実習に入るときには必ず挨拶をしてください。また、無断で他の家への出入りはしないでください。
必要なときには職員に伝えてください。
職員の指導、助言は素直に受け入れ、分からないこと、理解できないことはそのままにしないで気楽に質問してください。
時間は厳守し、余裕を持って行動に移してください。
服装は活動しやすいものとし、華美や派手なものを避け、厚化粧やピアス、マニキュアなど実習中は控えてください。
それぞれの家の環境美化に配慮し、ごみ拾いや家の周りの草抜きにも心がけてください。

(3)子どもとの対応で気をつけてほしいこと。

入所児童の半数以上が虐待を受けた子どもたちとなっています。
「愛着障害」や「虐待的人間関係の再現傾向」など対人関係にさまざまな特徴が見られ、実習生に対して必要以上にベタベタと 接したり、一瞬にして拒否的・暴力的な態度へと豹変したりします。
また、「試し行動」など、暴力を誘発するような態度をわざととったりする子どももいますので、
その行動や心理的特徴への基礎的な理解と対処能力が求められますので、事前にしっかりと学習してきてください。
子どもたちの中には些細なことで過剰に反応して「かんしゃく」や「パニック」を起こす子どももいます。
対応が無理だと感じたら、早めに職員の支援・指示を求めてください。
子どもたちの自主的な生活態度を妨げないようにし、子どもたちと一緒に後片付け、整理整頓に心がけてください。
また、子どもたちを呼ぶときには、ちゃん くん さん で呼んでください。
子どもが了承すれば愛称で呼んでもかまいません。
子どもと散歩や、買い物などで寮外に出かけるときには、必ず職員の許可を得てください。
そして誰々とどこへ行くこと、今帰ってきたことを必ず伝えてください。
子どもたちの個々の要求を気楽に受け入れ、安易に約束して金品などを勝手に子どもに渡さないでください。
とくにタバコの取り扱いには十分な配慮をしてください。
子どもたち一人ひとりに、子ども相談センター、学校、親の意見を取り入れながら自立支援計画を立てて養護にあたっています。
子どもの愚痴や虚言に惑わされたり、安易に同情したり同調することなく、「できること」と「できないこと」をはっきりとして、分らないこと、疑問に思うことは、その都度職員に確認しながら対応してください。
実習中は指導者としての自覚を持って毅然と行動してください。ただ指導しなければという姿勢が強すぎると子どもたちは拒否反 応を起こします。子どもから学び、一緒に成長しようという謙虚な姿勢も求められます。
施設には多くの人たちの出入りがあります。学生言葉など言動には十分気をつけてください。
( とくに子どもたちの親、保護者には充分な配慮をしてください。)
中学・高校生は個室で生活を送っています。とくに高校生とは年齢が近いこともあり、思春期の彼らの接し方には十分な注意と配 慮をし、個室には原則的に入らないようにしてください。

(4)実習記録の作成

記録は一日の実習終了後毎日記入し、翌朝に各家の事務所に提出してください。
実習担当職員が休暇や、急な仕事で指導者のコメントをその日に書けない場合がありますので、予め了承してください。
日誌の中での質問は最小限にしてください。
日誌の中での児童名はイニシャルで記入してください。( 守秘義務)
実習のアンケートは中間反省会に活用しますのでそれまでに提出してください。実習の感想は、実習最終日に日誌とともに提出を してください。日誌は誤字・脱字・記入漏れのないように再度確認してから提出してください。
オリエンテーション、実習反省会、各種講義などの内容は、記録し整理しておいてください。
記録は鉛筆書きをしないでください。インク消しがあると便利です。

(5)調理実習と食生活について

台所に入るときには、必ず手をきれいに洗ってください。
爪は清潔にして、マニキュア、指輪は禁止します。
髪の毛の長い人は、必ずゴムなどで縛ってください。
調理の実習内容は、分かりにくいことが多いと思います。自分勝手な判断で行動しないで、面倒でも一つひとつ職員に尋ね、その 指示に従ってください。
調理中に台所を離れるときがある場合、火気には十分な注意を払ってください。
実習内容としては、食事作りの援助、食事後の後片付け、食堂、台所の清掃が主な仕事となります。
それぞれの家でよく確認してから前向きに取り組んでください。
食物アレルギー、その他、体調が悪くて食べられない食品がある場合には、必ず事前に申し出てください。
食事マナー、エチケットに十分留意し、子どもたちがあなたの姿をじっと見て、真似をすることを忘れないでください。
ホーム制養護では、食生活を大切な養護の柱として位置づけて取り組んでいます。
子どもたちと食卓を囲むときには、楽しい雰囲気作りに努めてください。

(6)宿泊について( 必ず読んで守ってください。)

宿泊場所である地域交流ホーム「樹心館」では、大勢の人たちが活用します。整理整頓に心がけ、トイレ、浴槽の掃除は、当番を 決めて毎日行ってください。
また、一人ひとりに鍵を渡しますので、必ず施錠をしてください。子どもたちは部屋には絶対に入れないでください。
部屋の喚起をよくし、天気のよい日には布団を干し、利用したシーツ・カバー類は、きれいに洗ってから返却してください。
( 清潔にしないとダニが湧きます)
樹心館は、子ども家庭支援センター「こころ」の事務所や、カウンセリング室、会議室などがあり、地域の人たちや子どもたちも 利用しますので、大声で騒いだりしないようにし、夜には部屋のカーテンを閉め、次の日のためにも遅くとも12 時には消灯して ください。
節電、節水に心がけ、冷暖房機のつけっぱなしは絶対にしないようにしてください。
また冷蔵庫の中はきれいに片付けて、持ち込んだものは全部持ち帰ってください。
実習中に出たゴミやペットボトル、空き缶などはなるべく持ち帰ってください。
持ち帰れない場合には、ごみ収集日など確認して決められた場所に処理してください。
施設内は全面禁煙です。
宿舎に関して不都合なこと、困ったことがあれば、早めに遠慮なく申し出てください。
宿泊場所 地域交流ホーム「樹心館」
地域交流ホーム「樹心館」

(7)その他

休憩時間に買い物など外出をする場合には、交通事故などに気をつけてください。
但し、夜間の外出は危険ですから特に女子学生は原則として禁止します。
貴重品は持ってこないでください。経費など心配な人は預かりますので申し出てください。
初日に各家で、子どもたちに自己紹介をしてください。
寮全体としての日課はとくに決めていません。それぞれの子どもの年齢に合った生活が展開されています。
早めに理解してください。朝食は7:00 時 夕食は18:00 時を目安にしています。
実習生の勤務時間は、1 日8 時間勤務を原則としています。それぞれに配属された家の実習担当者( チーフ) の作成した勤務表に従って行動してください。
実習初日は11時からの勤務となります。10 時半頃には宿舎に入って準備を始めてください。実習最終日は午後4時までには終了する予定です。
携帯電話は実習勤務中には持ち歩かないでください。子どもたちが触りたがり壊されます。
火災や地震などが発生した場合には、何をおいても子どもたち( とくに幼児) の身の安全の確保に心がけてください。
そして、速やかに職員に報告し、指示を受けて機敏に行動してください。
宿泊実習では生活環境が変化し、健康を害することがありますので、夜更かしや不規則な生活を慎み、健康管理に十分留意してく ださい。
また、体調が悪くなったときには、無理をせず速やかに病状を申し出て休養をとってください。
自動車に乗ってくることは原則として禁止します。
必要な場合には許可を得て、なるべくグループで乗り合わせてきてください。
交流ホーム前の西側の一定場所に駐車してください。
必要以外は乗り回さないでください。
子どもを無断で車に乗せた場合には、即、実習を中止とします。

2. 実習のポイント

(1)子どもへの理解とニーズの把握、権利保障

子どもたちの理解に努め、子どもたちが今何を思い、何を考えながら生活をしているのか、
いわゆる子どもたちのニーズを受け止める能力を高める努力をしてください。
そして、子どもの権利条約の精神が日常生活の中でどのように生かされているのかを把握してください。
( 子どもの最善の利益が守られているのか、意見表明の場が保障されているのか、プライバシーはどうなっているのかなど) 担当の家の子どもたちの、個々のケースについては、直接担当者から説明があり、子どものケース記録を学習する機会も設定されていますので( 子どものケースによっては守秘する場合もあります。
また、意欲のない実習生だと思われると設定されない場合もあります。) それらを参考にして充分に把握してください。
子どもたちは日々成長発達し、変化していますから先入観を持ちすぎずに、あなた自身で感じ取り理解に努めてください。

(2)日常生活業務への理解と実践

児童養護施設はいうまでもなく子どもたちにとって生活の場です。掃除、洗濯、調理など日常生活業務が子どもたちを育てる上で 大切な役割を持っています。実習生としてそうした業務に積極的に参加してください。
それらの取り組みを通じて子どもたちとの人間的な関係を深めていくことができます。
決して雑務として軽視しないでください。
日ごろの生活から家事の手伝いに心がけ、日常生活業務を身につけておくと大いに役立ちます。

(3)家族関係調整とその実際への理解

今日の児童養護施設は、「孤児院」時代と違って、ほとんどの子どもたちが親や家族のいる子どもたちです。
親や家族とともに子育てをすることが求められています。
また、入所児の大半が虐待を受けた子どもたちという状況の中で、親や家族の社会的な背景を理解するとともに、親子関係、家族 関係の調整に施設がどのように取り組んでいるのか、そのために子ども相談センター( 児童相談所) や地域の民生・児童委員、家庭相談員と、家庭支援専門相談員を中心としてどのように連携をとりながら取り組んでいるのかなど、興味と関心を持って学んでください。

(4)施設と地域社会との関係理解

子どもたちは地域の幼稚園、小学校、中学校、そして高等学校などに通学しています。
また、地域の子ども会やスポーツ少年団に参加し、地域の主催する各種行事にも参加しています。
そうしたことから施設が学校や地域とどのように連携を図り、さらに職員も地域の一員として学校PTA 活動やスポーツ少年団活動 の指導者としてどのような活動をしているのか、地域社会は施設に対して何を期待し、どのように理解しているのかなど多くのこ とを学んでください。
また、児童家庭支援センターを中心として、ショートステイ・トワイライトステイなど地域の子育て支援にたいしての施設の取り 組みも学んでください。

(5)人から学び、福祉の現場へ

施設長をはじめ、事務職員、子どもたちと日々の生活を共にしている担当職員から、また、心理担当職員や個別対応職員などから 具体的な子どもたちとの関り方とともに、この仕事に対する取り組み姿勢や情熱、さらに職業観や人生観など直接見たり聞いたり しながら、多くのことを学んでください。
そして、時として職員の苦労話や失敗談に耳を傾けることも、将来の進路を考える上で大いに役立ちます。
最後に、子どもたちとのぶつかり合いの生活の中で、ともに苦しみ、躓き、悩みながらも子どもたちや仲間とともに成長していく ことのできる児童福祉施設の現場に、一人でも多くの人たちが飛び込み、私たちの仲間として実践されることを期待します。
また、子どもたちは私だけのお兄さんお姉さんの学習ボランティアや、じっくり僕や私の話を聞いてくれる人を求めています。
児童養護に興味関心のある方は、実習後も子ども達との継続した関わりを期待します。
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